◆二胡について 各部の名称
二胡の構造、各部の名称です。知っているのと知っていないのでは大違いです。
これから二胡を始めようと思っている方、すでに始めている方もご参考ください。
二胡 各部名称
それぞれに役割がありますので、しっかり理解しましょう。
1. 糸巻き=琴軸(チンジョウ)
弦を調弦(チューニング)する部分です。上の棒が内弦用糸巻き。下の棒が外弦用糸巻きです。弦を巻きつける部分が金属軸タイプと木軸タイプがあります。
- 【画像上:金属軸タイプ】
- 【画像下:木軸タイプ】
調弦をする時、糸巻きが金属軸タイプは、内弦外弦どちらとも同じ方向に回転させます。
木軸タイプは、二胡を正面から見た場合、内弦糸巻きは時計回りに回転させます。外弦糸巻きは時計と反対回りに回転させます。
金属軸は調弦がしやすいので初心者向きです。ただし、木軸に比べると演奏中に巻きが甘くなりやすくなります。木軸はガッチリ固定できると弦が緩まず安定するのが特徴です。ただ、木軸は調弦に慣れるまでにコツと経験が多少必要ですので、コチラをご参考ください。
⇒ ◆糸巻きの持ち方
2. 千金(せんきん・チェンジン)=上駒
千金(千斤)は二胡には欠かせない重要な部品のひとつです。二胡は弓の動きに合わせて2本の弦を指で押さえたり離したりして音を変えますが、その指で押さえる部分(箇所)が千金の位置より下になります。
種類は固定タイプと紐タイプがあります。固定タイプと紐タイプは、使う方の好みや奏でたい音色によって選び方があります。千金に関しては、特徴が短所にも長所にもなるため、どちらのタイプも一長一短です。ご自分の二胡歴、好み、奏でたい音色などを考慮したうえでお選びください! また、教室に通われている方は、先生の方針もありますので、まずは尋ねてアドバイスを受けてみてください。
千金(千斤)の選び方:ご参考にしてください
◆固定タイプ千金
固定千金は、紐千金にくらべて、弾いたときの弦のブレが少ないため音が安定します。(同じ固定タイプでも金属製だと金属音雑音がでやすいため、プラスチックや水牛角の程よい硬さが音のブレを軽減します。)特に開放弦を弾いたときの音が紐千金とくらべると雑音が少なく、安定するので、運弓が不安定な入門者の方にはオススメといえます。中級上級者の方になりますと、演奏中でも安定しブレないということで固定タイプを選ぶ方がいる一方で、ブレが少なすぎて音色が硬いからと、避ける方も多いです。また、二胡のヘビ皮の経年にあわせて音色自体は少しずつ籠もり気味な音色になっていきます。音量の大きさ明るさよりも安定重視の方には選ばれます。一長一短ですので、使いやすさに合わせてお選びください。
◆紐タイプ千金
一般的に普及している千金です。紐千金は、棹と弦との間の幅調節が個人に合わせて可能ということもあり、初級中級者~上級者の方にオススメです。音色自体も固定千金より大きく響き、鋭敏な音色が出ます。
紐千金は、固定千金にくらべて、弾いたときの音のブレが大きいため、運弓次第では安定せずに雑音などが混じりやすくなります。特に開放弦の音で、金属音が出やすいです。一方で、音が安定してきた方なら、紐千金で十分にキレイで良い音色が出ます。といいますのも、紐千金は音のブレが大きい、良い意味では“ゆれ”が大きいので柔らかく情感のこもった音色、味のあるあの音色が奏でられるためです。しかし、その音の“ゆれ”幅の分、しっかりと弾き方と運弓に慣れて、安定した音を奏でる表現が必要でしょう。また、紐千金をしっかりと棹に巻きつけて取り付けること、弦と接触するところに緩みがないことが大切なのであわせて確認ください。
音色や表現の調節が可能な分、扱うのも難しい千金。一長一短ですので、奏でたい音色や使いやすさに合わせてお選びください。 ちなみに当教室では、固定千金を装着している生徒さんは、ある時期が来たら紐千金へ変更しております。しばらくは慣れが必要ですが、慣れてくると味わいのある音色が聴こえてきます。また長年弾いている方は、紐から再び固定タイプへ取り付ける方もいらっしゃいます。
- 【画像上:紐タイプ】
- 【画像中:固定タイプ】
- 【画像下:固定タイプ(金属製)】
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⇒⇒ 紐タイプ千金(千斤)の取り付け方はこちら
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3. 共鳴胴=琴筒(チントン)
スピーカーの役割を果たす部分です。 弓で弾いた音が、駒、皮を伝ってここで拡大されて外に出ていきます。材質と形によって、音質と音量が異なります。材質は紫檀、黒檀、紅木などの堅い木が適しており、中でも紫檀が最良です。共鳴胴の形状には、円形、六角形、八角形(後方円形)などがあり、現在は、六角形と八角形(後方円形)が主流となっています。
- 【画像上:六角形タイプ】
- 【画像下:八角形(後方円形)タイプ】
4. 弦=琴弦(チンシェン)
内弦と外弦の合わせて2本があります。
- 【左:内弦(太くて長い)】
- 【右:外弦(細くて短い)】
内弦は里弦とも呼びます。 材質はスチール製やステンレス製が一般的です。 メーカーによって作りが違いますので、内弦、外弦とも必ず同じメーカーのものを使うようにします。また、片方の弦が切れた場合でも、交換するときは両弦を同時に交換するようにします。
5. 皮=琴皮(チンピー)
ニシキヘビ皮が一般的ですが、最近では動物の皮や人工皮が使われるのもあります。皮は音色に大きく影響する部分のひとつです。弦の振動が駒に伝わり皮で響きます。皮の張り具合や薄さなどによって、どういった音色になるかが決まります。
6. 駒=琴碼(チンマー)
皮の中心に置き、弦の振動を皮に伝える役割をします。 材質もいろいろありますが、楓や紫檀、黒檀、マホガニーなど堅い材質のものが主に使われています。駒によって音色が変わることもありますので、いろいろ試して自分の二胡に合う駒を見つけましょう。
注意点としては、駒は気づかないうちに割れたり欠けたりしていることが多々あります。特に、弦をのせる溝の横が欠けると弦が脱落しやすいので、定期的にチェックを心がけましょう。
7. 控制墊(コンジーディエン)
二胡の雑音を抑える役割をします。音質調整材です。駒の下あたり、弦と皮の間に挟むように装着します。自分の音色を聴きながら、よい音が出るように巻き方や厚みを変えたりして、調整を行ないます。
材質は、一般的にフェルト布やスポンジのどちらかを挟みます。また、スポンジをフェルト布で巻いて挟む使い方もあります。
二胡姫ではフェルトなどの布生地をオススメしています。スポンジのみだと乾燥して劣化するとヘビ皮に付着する場合がありますので、使用経過には充分お気をつけください。
8. 胴敷(台座)=琴托(チントゥオ)
二胡の胴敷(台座)は、共鳴胴の下についていて、楽器を安定させる役割をします。底面にはテールピース(ピン)があり、2本の弦を掛けます。形状は、共鳴胴を包み込むようなU字型タイプと、台形型タイプがあります。U字型タイプは、蘇州型二胡・上海型二胡に多く見られる仕様です。台形型(かまぼこ型)タイプは、北京型二胡の仕様です。
9. 弓=琴弓(チンゴン)
二胡の弓は、竹でできた棹(弓棹)に馬の尻尾の毛を束ねて作られています。毛は繊細な音が出る白毛を使っているものが良いです。竹の右端のネジを回して、張力を調整します。
≪弓の交換時期の目安≫
二胡の弓は『消耗品』です。弾いていくと弓毛が徐々に劣化していきますので音色にも影響します。二胡の次に音色を左右する大事な部品で、奏者によっては二胡よりも大切と言う方もいます。
交換時期の目安としては、弾く方の使用時間・練習量にもよりますが、ご使用開始から長くても2年以内には交換されることをオススメいたします。音をより良質のままで保つのであれば、1年ほどでの交換を推奨いたします。また、毛の本数が、ご使用開始時期よりも明らかに半分ほどに減っているようでしたら、使用期間にかかわらず交換してください。